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先日のコラムでは、住宅金融支援機構の「民間住宅ローン利用者の実態調査」から金利タイプランキングをご案内しました。
>>>改心した住宅金融支援機構の住宅ローン調査 気になる金利タイプランキングは?
変動金利型の人気が高まっているという結果でしたね。
ちなみに住宅ローン変動金利については、よく専門家から「年収の低い人は万が一金利が上がった場合に対応できないので利用してはいけない」というアドバイスを耳にします。
「理屈に合わない」とは思いませんが、言い換えれば「年収の低い人は割高な固定金利を払え」ということですから、「納得感がない」と感じます。
加えてこうしたアドバイスは「借り入れ時の年収が最後までずっと続く」ことがイメージされています。雇用形態や学歴、資格、スキル、業種によって固定的な給与体系は確かにありますので、そうしたイメージが間違っているとは思いません。
しかし恐らく世帯年収を年収別に並べてみると、400〜600万円あたりをピークにベルカーブを描いているものと思います。つまり統計的には500万円前後の世帯年収を維持するのは容易である一方、それ以上の年収を維持するのは難しいことが示唆されています。
とすると変動金利を利用していけないのは、「年収の低い人」ではなくむしろ「年収の高い人」という考え方もありそうです。
いずれにしてもどの金利タイプにもメリット・デメリットがあるわけで、一概に「変動金利は危険で固定金利は安全」と切り分けできるようなものではありません。どの金利タイプが良かったのかというのは後からしか分かりませんので、その点では納得して選んだものであれば「どれでも正解」と言えそうです。
では実際のところみんなはどういう金利タイプを選んでいるのでしょうか?
ということで今回も「民間住宅ローン利用者の実態調査」から年収別の住宅ローン金利タイプランキングを書き出すとこうなります。
変動金利のシェアだけを取り出し見ると年収別にこうなります。
・400万円以下 : 54.4%
・600万円以下 : 58.8%
・800万円以下 : 55.5%
・1,000万円以下 : 58.6%
・1,500万円以下 : 56.5%
・1,500万円超 : 50.0%
どの年収レンジでも50%以上となっていますが、最も変動型のシェアが高いのは「600万円以下」である一方、最も変動型のシェアが低いのは「1,500万円超」となっており、つまりここから言えるのは「年収が高い人ほど変動金利を選んでいるわけではない」ということですね。
ただ「400万円以下」の方も相対的には変動型のシェアは低めであり、むしろ「年収と住宅ローン金利タイプ選びに相関はない」というのが結論となるのかもしれませんが・・・。
そうしたわけで理論的にも現実的にも「年収の低い人は変動金利を選んではダメ」というアドバイスには賛同できません。
ちなみに変動金利を選ぶ人が「無謀」なのかをチェックするために金利タイプ別の返済負担率(年収に対する住宅ローン返済額の割合)をチェックしてみるとこうなります。
<変動型の返済負担率>
・10%以内 : 20.0%
・15%以内 : 25.1%
・20%以内 : 24.4%
・25%以内 : 16.4%
・30%以内 : 8.0%
・35%以内 : 3.8%
・40%以内 : 1.3%
・40%超 : 0.9%
<固定期間選択型の返済負担率>
・10%以内 : 21.9%
・15%以内 : 28.8%
・20%以内 : 23.3%
・25%以内 : 11.7%
・30%以内 : 8.4%
・35%以内 : 3.3%
・40%以内 : 1.3%
・40%超 : 1.3%
<全期間固定型の返済負担率>
・10%以内 : 17.5%
・15%以内 : 27.5%
・20%以内 : 29.5%
・25%以内 : 15.5%
・30%以内 : 5.5%
・35%以内 : 2.5%
・40%以内 : 0.5%
・40%超 : 1.5%
ざっと見た限り大きな差はなさそうですが、十分余裕がありそうな「25%以内」の合計を比較してみるとこうなります。
・変動型 : 85.9%
・固定期間選択型 : 85.7%
・全期間固定型 : 90.0%
この数値だけを見ると、「安全度合い」は全期間固定型>変動型>固定期間選択型の順番になりますが、実際にはその差はわずかです。その点では変動金利を選ぶ方も無理のない返済計画に基づいて住宅ローンを組んでいるということですね。
なお、住宅ローンの変動金利を選ぶ時の最大のリスクは「金利上昇リスク」ですが、ある朝いきなり急上昇することはありません。というのも現在は日銀が低金利を維持しており、なぜ日銀が低金利を維持しているかと言うと、物価がなかなか上昇しないからですね。
言い換えれば今後金利が上昇する時というのはこういう順番になります。
・物価上昇 → 日銀が低金利政策を解除 → 住宅ローン金利上昇
そうしたわけで、変動金利を利用される方は物価の動向、つまりインフレ率をチェックしておけば金利上昇リスクをほぼコントロールできます。ぜひ毎月発表されるインフレ率をチェックしてみてください。
この最新のインフレ率については当サイトでも速報でご案内しておりますので参考になさってください。
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<日本住宅ローンプランニング編集部>